カエデ自動機械

ちょっとしたものづくりや電子工作のメモなど。技術開発とは今は呼べないかな。

自律走行台車を作りたくなってしまった

突然ですがタイトルの通りです。また新しいロボットを作りたくなってしまいました。
力覚フィードバック式ロボットハンドの製作も途中(構造部品がイマイチだったので、再手配中)なのになんとも気が多いことですが、欲望には逆らえません。

きっかけ

単に日曜大工的な作業が好きなので、新しい台車を組み立てたくなった、というのが一番の理由
ですが・・・ それでは格好がつかないのでそれ以外の理由を。


倒立振子ロボットを制作していた時の取り組みをブログにまとめていたら、そういえば元々はホームロボットを作りたかったんじゃなかったのかと思い出しまして。
一方で今の倒立振子ではどうもペイロードが限られ、中々思うような行動はさせられそうにありません。自宅のSLAMをやろうにも、自己姿勢がフラついては視野角内の特徴点が動きすぎてマッチングができない、みたいなことも起こりそうですし。
自律走行は初めてチャレンジするので、倒立振子の姿勢制御と同時にやるというのはハードルが高すぎたのでは?と反省している次第です。


それからこちらは付随的な思いなのですが、やっぱりモチベーション維持のためには何かコンテストに出してみたいという気持ちが出てきたのもあります。
ロボカップなど色々調べてみたのですが、どうにもハードルが高い。シミュレーション部門もあるようで環境をインストールしてみたのですが、チュートリアルが(僕の技術レベルに対して)貧弱で、何から手を付けて良いのやらさっぱりわからず、ある程度技術的な積み上げがないと取り付く島がないのでは?という結論に至ってしまいました。

実機を動かすコンテストなら、お金もかかるしハードルも高いですが、フルスクラッチできれば全て自分で把握できますし、その過程で技術的な積み上げもできそうです。本番は安全でさえあれば「あとは動けばなんでもいい」となりますし。
そういう観点でも、つくばチャレンジやRoboCupHomeなどは良さそうで、出場に至るかは別として、コンテストで競う要件について取り組む(環境認識、自律走行など)には、倒立振子型の台車からは一度離れても良いのでは? と思った次第です。


台車の基本設計

以前も紹介した設計思考展開のやり方で、要求機能から大まかな設計仕様を定めていくプロセスを取ってみようと思います。
今回は、屋内で使えるホームロボットであるという点は今までと一緒ですが、同時につくばチャレンジ等で野外での使用も想定に含める必要があります。
従って前回の設計思考展開に加えて、具体的な用途の追加・拡張をしてみます。代わりに、台車自体の制御の面白みは削ります(これで、脚ロボットや倒立振子が設計解から落ちる)

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新しい台車の設計思考展開図

基本的に1つの要求機能(機能要素)に対して1つの設計解(機構要素)で、2つ以上の機能を1つの解に持ち込むべきではありません。後で当該部位を修正した際に、複数の機能が同時に影響を受けてしまうからです。
が、実際はむしろ、こんな単純なものではなく、この図で表したのはごく一部分という気がして、簡明な設計とは難しいものだなあと思います。
要求機能(白抜き矢印より左側)はこれで良いとしても、設計解はもっとたくさんの種類がありますし、矢印の繋がり方も複雑ではないかと思います。この図はあくまで一例です。


掻い摘んで説明すると、図の構成・順番とは異なりますが、

  • 野外使用となると、アスファルト上といえどもかなりの振動がありますし、更に段差も乗り越える必要があります。また、ある程度の長時間稼働になるでしょう。(充電もしづらいし、コンテストだと1〜2kmは走る) ⇒ サス機構や大容量バッテリが必要です。
  • 逆に屋内使用だと、とにかく小型であること、車輪が足の指を巻き込んだりしないことが求められます ⇒ 例えばルンバのサイズ(Φ350mm)を基準にしてみようと思います。車輪も極力車体からはみ出さないようにします。
  • 屋内外で共通に求められる能力として、自律走行ができることがあります。これは企画の趣旨上当然です。そのためのセンサやPCの搭載は必須です。それらに加え、ホームロボットなら作業用のペイロードも必要です。 ⇒ 倒立振子型は取りやめ、ペイロードに優れた4輪台車にします。 車体情報の取得がしやすいよう、車体はエンコーダ付きの対向二輪型(差動二輪型?)が良いでしょう。
  • 全く同じ仕様で屋外と屋内の両用は難しいかも知れませんし、屋外なら現地への運搬や現地での修理も必要です。 ⇒ 車体は分解等が容易な構造にしたいです。また、部品の組み換えによって屋外仕様と屋内仕様を切り替えられれば言うことナシです。

まとめ

こうやって構想を練ったりCADソフト上で部品の配置を考えたりしている時間が一番楽しいと思えてしまいますね。
本当にその作業が好きというよりは、この段階だと何かが上手く行かなくて苦しむということが無いからだと思っています。。。プロの設計者なら、CAD上の検討でも相当な苦しみがあるのでしょうが、僕はPC上で部品寸法を変えられる積み木程度の使い方しかしませんので。



かなり雑で、項目ごとに粒度も違う内容となってしまい巻いたが、新しいロボット台車の構想が出来上がりました。

モータと車輪は倒立振子ロボットで使用していたものを流用予定ですのでパワーも十分(ストール電流20A@12Vなので、ロス加味しても100W級くらいのモータ?)です。
ルンバサイズの4輪台車であればペイロードが不足することもありませんし、重心やホイールベースにも依りますがそれなりに不整地走破性も確保できそうです。

車体の組み立てや遠隔操縦で速度制御をするところまでは倒立振子ロボットを作った時の資産を流用すれば苦労することも無いと思うので、そちらは粛々と進めつつ、どのように自律走行機能を実装していくかを検討していこうと思います。

ktd-prototype.hatenablog.com