カエデ自動機械

ちょっとしたものづくりや電子工作のメモなど。技術開発とは今は呼べないかな。

3Dプリンター活用技術検定試験を受けた話

まあ、表題の通りとしか言いようがありませんが、受けてきて、合格しました。

電子工作やらロボット作りやらの界隈では、3Dプリンティングや付加加工といった技術は身近かと思いますので、軽く紹介してみようと思います。

ことの発端は

仕事がちょうど、面白い種類の仕事はちょっと下火、つまらない仕事は上層部の都合で迷走・・・という時期があってやさぐれていたんですね。

いきなり仕事辞めたりとかそんなことをするつもりは無いものの、このままだと頭がおかしくなりそうなのもまた事実で、自分なりに興味がある分野の勉強をしたりして、手に職を付けてやろうと思いました。

そもそもこのブログを始めたのも、そのブログでロボット作りの活動を紹介しているのも同じ理由ですが。。。

それで目に止まったのがCAD利用技術者試験でした(この時点ではまだ3Dプリンターではない)

元々学生時代に授業でCADを齧ったのもあり、また、プロダクトデザインの真似事のようなものをやっていた際にもCADでモデリングをやっていたので、この分野には興味があります。

一方、どうやら当分先まで申込受付が始まらないらしく・・・一旦保留にしようと思ったところで目にしたのが、3Dプリンタ活用技術検定試験でした。


私と3Dプリンタの付き合い

まさに上記の「プロダクトデザインの真似事のようなことを齧っていた期間」に、自分達の作品のスケールモデルを作成するために初めて触れました。

ちょうど10年前くらいで、まだ基本特許が切れて各社が3Dプリンタを発売する前なんじゃないかなと思います。

床置きで人の身長くらいまである大きな装置で、樹脂を溶かしてノズルから細く押し出して積み上げていく、いわゆるFDM方式でした。

時は流れて5〜6年前、今度は職場に3Dプリンタが導入されたのが2回目の出会い。今度は各社が3Dプリンタを発売した時期で、電器屋にも特設コーナーができていた時期ですね。

これもまたPLAとABSを出力可能な卓上FDMタイプで、その中では比較的高級機種だったのではと思います。

造形失敗も多く、万能ではないなという印象でしたが、比較的造形失敗が少ない形状や出力方法を自分なりに模索して、ロボットのちょっとした実験で使う治具やセンサマウントなんかを出力してきました。


更に5年経ち、3Dプリンタという技術も大分こなれてきたのではないかと思います。最新機種を保有したことはありませんが、機種や使用可能な材料にも種類が増えたし。

知人で個人所有している人もいたり、3Dプリントの外注サービスができたり。(昔からあったのかも知れませんが)

私もそれらを利用させてもらい、最近はロボット作りの際にホイールマウントみたいな細かい部品を出力したりするのにも、3Dプリンティングを使っていますね。



技術で言うとハードウェアの中でも特にメカ部分、分野で言うと製造業にやはり最も興味がありますから、3Dプリンタ周りの技術というのは私なりにアンテナを張っていた部分ではあります。

ここで見つけたのも何かの縁ということで、3Dプリンター活用技術検定試験、受けてみることにしました。


受けるにあたって

別に大したことはしません。

受験申込も、受験料の払込もインターネットでできます。

そこまで行けるなら、受験票すらなんとかなった気がしなくもないですが、顔写真をプリントアウトして、紙の受験票に貼り付ける必要がありました。

受験前日の深夜25時、1人でスマートフォンで自撮りした写真をそのままコンビニでプリントアウトし、貼り付けましたが・・・意外と普段やらない動作なので、腰が重くなるので要注意です。


試験対策には、公式の対策本である以下の本を利用しました。
books.rakuten.co.jp

特に何をやるというわけではありませんが、職場に向かう電車の中で読んだりして、内容を頭に叩きこみました。

本当に読むだけで、高校生みたいに赤ペンで塗りつぶして緑のシートで隠したりとか、込み入ったことはしていませんが・・・ でも3周くらいは読んだかな。

巻末の演習問題も一応解きました。


各樹脂材料の特性なんかを覚えるのは相当大変なのではないかと思います。私も全ては覚えませんでした。

卓上FDMでよく使われるPLA、ABSの他、ポリカーボネートポリプロピレン、ナイロンなんかは多少知識がありましたが、それ以外は正直細かく覚えられませんでした。

3Dプリンタの造形方式ごとの特性とか、付加加工の一般的な特徴なんかは、元々興味があったこともあり、すんなり頭に入ってきた感じがします。


受けてみてどうだったか?

合格はしました。

上に書いたような知識が問われるだけなので、正直な所、これに合格したところで、「3Dプリンタを使って物を造形する技術」は向上しないと思います。

一応、造形時の対象物の配置向きによってサポート材が付く面が変わり、仕上がりに差がでる・・・程度のコツは試験範囲にあったような気がしますが、3Dプリンタで部品を造形して、それを使う(フィギュアとして飾ったり、ロボットの部品として組み込んだり)にあたってぶつかる苦労の解決策にはならないだろうと感じました。

それらの技術は結局の所、自分で何度も試行錯誤して造形して、CADの画面とスライサソフトの画面と3Dプリンタの前を行ったり来たりして、時には出力した造形物で試験運用して・・・ という過程でしか身につかないのでしょう。


一方で、例えば海外製3Dプリンタの代理店勤務の新入社員が社内研修の一環として受験するとか、そういう用途には適しているのかなと思います。

この知識と、代理店の仕事を通じて得られる知識だけで、海外製プリンタの代理販売をされると、ユーザとしては困ることも多いかも知れませんが・・・そこは各社の戦略にもよりますのでなんとも言えません。


「私の目的に叶う」試験ではないな、というのが、個人的な結論でした。